外科
診療科の紹介
当科は、食道・胃・小腸・虫垂・大腸・肛門の消化管、肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓および鼠径部や腹壁のヘルニアに対する外科(消化器外科)と甲状腺、乳腺、副腎の外科(乳腺・内分泌外科)、切り傷などの体表の外傷や、“おでき”などの皮膚の良性疾患に対する外科として、診断、手術、術前術後管理を行っています。
常勤のスタッフは4人で、そのうち3人は日本外科学会、日本がん治療認定医機構の認定医にもなっています。また2人は日本消化器外科学会の指導医です。その他のいくつもの学会の指導医、専門医、認定医を持っているスタッフ(ドクター紹介の欄をご覧ください)もおり、その知識を活かして診療を行っています。
特色(得意とする分野)
外科が対象とする疾患
- 消化器系(食道、胃、小腸、結腸、直腸、肛門、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓)の病気
- 内分泌系(主として乳腺、甲状腺)の病気
- およびそけい部や臍部(さいぶ)のヘルニア
年間の手術件数は約300件で、それ以外には、内視鏡を使った胃瘻造設術は年間50件前後行っています。
当科での手術
大学病院や国立病院、公立病院などでは手術の大半は悪性疾患(がん)の手術ですが、当科でも悪性疾患の手術を実施していますが、胆石、虫垂炎、痔核、鼠径ヘルニアといった良性疾患の手術も多く実施しています。最近は腹腔鏡を使用した手術(腹腔鏡下手術)の割合が増加しています。腹腔鏡下手術は、開腹術と比べると、患者さんに与える侵襲が小さいことが証明されています。さらに、腹腔鏡下手術で実施したがんに対する手術は、従来の開腹手術と比較してもその成績が同等と言われていますので、当科では可能であれば、腹腔鏡下手術を選択するように心がけています。
当院がある生野区は高齢者の割合が多い地域です。高齢の患者さんは、高血圧、心臓や肺の病気を持っていることが多いですが、当院の循環器内科や呼吸器内科と相談し治療を行うことにより、また常勤の麻酔科医が麻酔を担当してくれることにより、高齢の患者さんや合併症のある患者さんでも、手術が問題なく実施でき、術後も順調に経過することが多い状況です。
また、各疾患の治療に対しては、それぞれの疾患に対するガイドラインに基づいた治療(科学的根拠に基づいた治療: EBM )を行っていますが、週 1 回看護師、薬剤師、理学療法士、MSWなどとのカンファレンスも行い、他職種の意見も取り入れ、患者さんに対してより良い治療を行えるように心がけています。
当科では、消化器、乳腺のがんを中心に治療しています。
当科では、消化器、乳腺のがんを中心に治療しています。その中で手術を実施するのは、胃がん、大腸がん、乳がんが主です。
がん医療の評価の指標としては、手術後5年経過した時の生存率(5年生存率)が通常用いられています。2013年〜2017年に、当科で手術を実施した胃がん、大腸がん(結腸がん、直腸がん)、乳がんの5年生存率は、手術でがんが取りきれた(治癒切除できた)と思われた“胃がん”“結腸がん”“直腸がん”“乳がん”で、がん以外で亡くなられた人を除いた患者様の5年生存率は、それぞれ81.8%、93.7%、83.3%、94.2%です。かなり良い成積であり、当科はしっかりした手術ができていることを物語っています。よい5年生存率を得るためにには、しっかりした手術をすることはもちろんですが、がんが取り切れる時期に診断されることが重要です。2013年〜2017年の胃がんの患者さんでは、当院で診断された時に 48.8%の患者様では取り切れないほどがんが進んでいました。できるだけ、早い時期に診断されることが望まれますので、がん検診の重要性を実感しています。
がんを根治できる治療は手術ですが、手術で完全に取りきれた(治癒切除された)患者さんでも術後に再発することもありますので、術後に抗がん剤治療(化学療法)を行ない、再発する割合を少しでも少なくするように努めています。また、がんが発見された時点で取り切れないと診断された患者さんには化学療法で治療することが一般的です。
現在、週に約10人の患者さんに化学療法を実施しています。抗がん剤投与により副作用が発現すると、患者さんの日常生活に支障が起こることがありますので、看護師、薬剤師と共同して治療にあたっています。実際、手術を実施した時点で取りきれなかったため術後に抗がん剤を投与した患者さんの中で、結腸がんで2名、直腸がんで1名の患者さんにおいて、がんの進行が抑えられ、日常生活にも大きな支障が出ずに5年以上通院されていた患者さんや、当科を受診時には胸部全体に広がっていて手術はできない状態であった乳がんの患者さんに抗がん剤を投与したところ、肉眼的にはがんが消失したようになった患者さんも経験しています。
当科だけでは対応が難しいがんについては、大阪公立大学医学部附属病院(当科は同院消化器外科・乳腺外科の関連施設です)などへ紹介できるように連携しています。同院より専門医を当院へ派遣していただき、当院での手術を行うこともあります。また、患者さんが、他院での治療を望まれた時やセカンドオピニオンを希望された時には、地域医療連絡室を通じて速やかに紹介できる体制があります。当科のスタッフは日本がん治療認定医でありますので、“がん”に対する知識は豊富ですので、患者よりの様々な質問にもお答えできると思います。
現在、日本人では、男性は2人に1人、女性は3人に1人ががんになると言われています。がんになると、早期でも晩期でもいろいろな症状が出現しますので、その症状を和らげる治療(緩和治療)が必要となります。がんに対する積極的な治療(手術や化学療法)を行っても、がんが根治できない患者さんには、その症状をすこしでも和らげることで、生活が楽になることがあります。
当科では緩和医療も行っています(外科の副院長は毎年、大阪府のいくつかの病院で、医療者に対して緩和ケアを指導しています)。当院は急性期病院であるため、入院日数に制限があり、また、緩和ケア病棟もありませんので、全ての患者さまに緩和ケア病棟のような医療を十分に提供できるとは限りません。しかし、がん緩和医療の認定看護師たちと緩和ケアチームをつくり、少しでも緩和ケアを必要とする患者さまに対応しています。
当科で実施している手術
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消化管(食道、胃、小腸、大腸、肛門)
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肝・胆・膵・脾
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乳腺
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甲状腺
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副甲状腺
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そけい・大腿・腹壁瘢痕ヘルニア
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下肢静脈瘤
鏡視下手術
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腹腔鏡下胆嚢摘出術
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腹腔鏡下胃切除術
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腹腔鏡下結腸切除術
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腹腔鏡下直腸手術
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腹腔鏡下食道裂孔根治術
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腹腔鏡下脾臓摘出術
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腹腔鏡下そけいヘルニア根治術
内視鏡視手術
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食道静脈瘤硬化療法(EIS)および結紮術(EVL)
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内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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内視鏡的逆行性胆道ドレナージ術(ERBD、ENBD)
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内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)
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内視鏡的胆道ステント留置術
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内視鏡的消化管ステント留置術(食道、胃、大腸)
その他
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経皮経肝胆道ドレナージ術(PTBD)
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経皮経肝胆道ステント挿入術
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肝悪性腫瘍ラジオ波凝固療法(経皮的、腹腔鏡下、開腹下)
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経皮経食道的胃管挿入術(PTEG)
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腹水(胸水)濾過濃縮再静注法(CART)
診療実績
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診療担当表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | 西森 | 永井 | 櫻井 | 竹村 | 櫻井 | 永井 |
午後 | 今本 | 西森 | 今本 |
ドクター紹介
氏名 | 役職 | 専門医資格 |
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西森武雄 | 副院長 |
日本外科学会指導医 日本外科学会専門医 日本外科学会認定医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本救急医学会救急科専門医 日本乳癌学会認定医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会指導医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器外科学会指導医 日本消化器外科学会専門医 日本消化器外科学会認定医 日本消化器外科学会消化器 がん外科治療認定医 日本肝臓学会専門医 日本大腸肛門病学会指導医 日本大腸肛門病学会専門医 日本医師会認定産業医 日本臨床肛門病学会認定医 日本医師会認定健康スポーツ医 インフェクションコントロールドクター(ICD) マンモグラフィ読影認定医 身体障害者指定医(ぼうこう又は直腸機能障害) 身体障害者指定医(肝機能障害) |
櫻井康弘 | 主任部長 |
大阪公立大学医学部臨床教授 日本外科学会指導医 日本外科学会専門医 日本外科学会認定医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本がん治療認定医療機構暫定教育医 日本消化器外科学会指導医 日本消化器外科学会専門医 日本消化器外科学会認定医 日本消化器外科学会消化器 がん外科治療認定医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本膵臓学会指導医 栄養管理指導者協議会 Medical Nutritionist 身体障害者指定医(直腸機能障害) |
永井友英 | 部長 | 日本外科学会専門医 日本大腸肛門病学会専門医 日本乳癌学会認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
今本皓介 | 医員 |